営業職につくと、数字に強くなります。
理由として、目標数値と実際の数値を比較し、実行することが習慣だからです。
目標を立てては、毎日の売上とにらみ合い、改善しては次の目標を立てることが、営業の日常茶飯事となります。
今回は営業の魅力である、数字に強くなることの深堀りとメリットについて解説していきます。
「数字に強い」は3つの要素から成り立つ
「数字に強い」を分解すると、以下の3点にまとめることができます。
- 定性的な情報を、数字に変えて表現できる具体化力
- モノを比べて判断する比較力
- 数字から示唆を見出せる抽象化力
順に簡単に解説していきます。
具体化力
具体的に考える力を指します。
例えば、「今の仕事、結構大変なんだよね」と言われた際に、「具体的にどれくらい大変なの?」と質問します。
すると、「大体毎日〇〇分かかっていて、20日稼働で□□分くらいのレベルの大変さだよ」と、さっと答えられるような様相です。
ざっくりとした情報を、具体的な数字で置き換えて表現できる力のことを数字の具体化力と言います。
比較力
モノを比べて判断する能力を指します。
例えば、「ラーメン屋さんって何店舗あるんだろう?」という時に、「1億店舗はないよね、日本の人口は1億2千人だし」、「一人1店舗はさすががに多いし、1店舗の来客数とか回転数とか考えると、、、」
上述の会話のように、さっと状況から規模感を引き出し、比較する力が比較力となります。
抽象力
特徴をおおまかにとらえて、把握する能力を指します。
例えば、ある数字トレンドを見た時に「市場が年○○%成長しているのに対して、この会社は□□%成長しているので、会社のシェアは☓☓%ずつ上昇していますね」と示唆を見いだせる力のことを言います。
この場合、前述の「具体化力」と「比較力」を合わせて考えています。
数字の抽象力は全体の数字観から、個々の数字を見つつ得られる示唆を見出しているので、ビジネスマンにとって重要なスキルであると言えます。
数字に強くなれば、他業種でも活躍できる
営業では数字目標を追いかけていきますが、自分の行動を、常に振り返りながら改善を続けていく必要があります。
改善を続けていく際に、目標達成までのプロセス管理をすることが大切になります。
結果だけを見ても、何が良くないのか見えてこないからです。
営業数値を達成するために必要な行動を見極める力がつくこと
結果に至るまでの過程をマネジメントするのに役立つのが、KPIです。
KPIとは「Key Performance Indicators」の頭文字を指し、重要業績評価指標という意味になります。
営業職ではKPIを用いて、営業数値を達成するために必要な行動(プロセス)管理をしていくのです。
必要な行動の例として、商談件数・訪問件数・成約率の指標です。
例えば、次のような数字になります。
■営業予算目標 500万円/月と仮定
訪問数 | 商談数 | 成約率 | 売上高(万円) | |
営業マンA | 50 | 30 | 10% | 600 |
営業マンB | 45 | 20 | 10% | 400 |
営業予算を達成しているのが、営業マンAです。
達成している営業マンAと比べて、予算未達の営業マンBが達成できなかった要因と仮説を、以下にまとめることができます。
- 成約率は同じだが、営業マンBは商談数が20で未達なので、商談数が足りない
- 営業マンBは、訪問数も営業マンAに比べると少ない
- 営業マンA・Bが訪問して商談に繋がる割合は、共に6割程度のため、単純に営業マンBの訪問数を営業マンAと同じ基準に上げれば、予算達成ができると仮説を立てる
以上のように、KPIによって数値で可視化することで、日々の活動の問題点を浮き彫りにすることができます。
営業職は予算達成するために必要な活動を見極めることの繰り返しのため、着実に数字に強くなっていくことができます。
数字に強いと、どんな仕事にも応用できる
予算達成のための行動管理とプロセス管理ができるスキルは、他業界や他職種でも即展開ができます。
マーケティングを行う職種や管理職では有用なスキルです。
経営者となって活躍する人が多いのも、「数字に強い」が最大の理由でもあります。
会社は数字を生み出すのが使命です。
数字に強い、数字をきちんと扱える人材は常に必要なのです。
数字に強くなるためには営業職が近道
私自身、営業職に就いた当初は、契約件数を上げたいがために、必死で先輩に質問し勉強をしました。
トップセールスのやり方を学ぶ中で、訪問件数やリストの取り方、商談数を多くするためにどうしたら良いか、自分の具体的な行動を分析しながらの毎日でした。
営業活動を具体的に数字化しつつ、日々のルーティンに落とし込む中で、数字に対する感覚が、自然と研ぎ澄まされていったように思います。
そして、数字を扱うことができるからこそ、経営者としてもキャリアアップできました。
営業職についた方は、ぜひ「数字に強くなる」という「最強の汎用スキル」を身につけるべく、活動していただきたいと思います。