「話し上手ではないですが、営業でやっていけますか?」
就職活動中の学生や、営業職に転職を考えている方から、よく聞かれる質問です。
私は即座に「はい、やれますよ」と答えます。
話し上手であることは、確かにプラスに働きますが、トップ営業になれるかどうかは別です。
実際に話し上手な人は、営業スキルも早く身につけていきますが、意外にも契約が取れず苦戦して、話下手な人に売り上げで負けてしまう例もあります。
反対に話し下手でも、営業職に就いてから努力をし、コミュニケーションスキルをきちんと身につけることで、トップ営業になった人もいます。
私は後者の方です。
私は幼少期から発話障害で、人前で話すと吃ってしまい、話すことが億劫な状態で育ってきました。
自己紹介で自分の名前が吃って言えず、人前で話すことはまさに拷問でした。
発話障害の私がトップ営業になれたのは、営業職に就いてから、営業ノウハウの習得と、体系的にコミュニケーションスキルを磨いてきたからだと言えます。
今回は、営業で身につく4つのコミュニケーションスキルを解説していきます。
以下で挙げるスキルは、他業界・他業種に転職をしても、必要なビジネススキルと言えるでしょう。
ヒアリング能力
営業は、ただ“売る”だけの仕事ではありません。
取り扱う商品・サービスに魅力を感じてもらうには、まず相手のニーズを的確に把握する必要があります。
現在どのような課題を抱えており、これからどうなっていきたいと望んでいるかを聞き出します。
特に初対面の相手には、なかなか本音など伝えられないものです。
初対面の相手と対面した際に必要となるのが、相手から信頼を得て、必要な情報を引き出すヒアリング能力です。
営業職は顧客とダイレクトにやり取りすることがほとんどであり、相手の話を聞く機会が豊富にあります。
本音を聞き、ニーズを引き出し、解決策の提示で契約に至るのです。
ヒアリング能力を身につけることは、社内外の人とのコミュニケーションでも欠かせません。
契約を取ったら終わりではなく、顧客へのサポートをしたり、社内の人に仕事を依頼したり、まだまだやることは残っています。
人間関係が複雑に絡まっている営業職だからこそ、相手から聞き出す能力、すなわちヒアリング能力が大切になってくるのです。
ヒアリング能力が、ビジネスにどれだけ役立つか体感できるのも、営業職ならではの経験でしょう。
調整能力
営業職は商談や資料作成、会議など、やるべきことがたくさんあります。
同じ商談でも、上司や部下が同行する場面もあるでしょう。
こういった人・物・場所などの流動的な要素に順応し、調整する力を、私は調整能力と定義しています。
普段タイトに動く環境の中で、スケジュールや場所の調整を、円滑に行わなければ、仕事が滞ってしまいます。
また、仕事は基本的に1人で完結するものではありません。
受注後は開発部や製造部に、製造を依頼したり、納入までのスケジュールを組んだりすることもあります。
調整能力は、自分だけでなく周囲も含め調整し、物事を進行していく能力です。
身につけておくと、公私ともに重宝するはずです。
プレゼンテーション能力
顧客への商品・サービスの提案では、プレゼンテーションが頻繁に行われます。
プレゼンテーションは相手の知りたい情報や、こちらの伝えたい情報を整理して資料にまとめ、相手へ分かりやすく伝える能力です。
営業現場では、ヒアリング能力で得た情報を元に、プレゼンテーションを通し、納得していただき、契約に結びつけます。
もはや営業職の必須能力と言っても過言ではありません。
また、競合他社の入ったコンペでは、プレゼンテーションの内容が、契約を得られるか否かを左右することもあります。
プレゼンテーション能力は社外のみならず、社内でプロジェクトの提案をする場面でも発揮される能力です。
加えて、プレゼンテーションに慣れているかどうかも、結果を左右します。
営業職として、場数をこなせばこなすほど、より落ち着いてプレゼンテーションに臨むことができるでしょう。
情報収集能力
営業活動は、相手を知ることが大切です。
相手をより深く知るため、インターネットやSNS等を駆使した、事前の情報収集は欠かせません。
企業概要や事業内容は当然のこと、相手企業に関するニュースや業界動向を調べておくことも大切です。
私も過去に、相手にとって有益な情報を、事前に取得していたことがきっかけで、商談がスムーズに進んだこともありました。
常にアンテナを張り、必要な情報を、素早く収集する
自分自身の引き出しを増やす上でも、大切なスキルではないでしょうか。
営業に対する向上心と、スキルアップの習慣さえあれば、営業職は務まる
どのような仕事も、社内外の多くの人々が関わって成り立っています。
営業はその最前線に立ち、顧客とのやり取りを行う仕事です。
営業の魅力は、4つのコミュニケーションスキルを、短期間で身に付けられることだと考えます。
最前線の重圧と焦燥感、なにより達成感が得やすい環境だからこそだと思います。
コミュニケーションが苦手だからと言って、「営業は難しい」と考えてしまうのは早計であり、実にもったいないことです。
話し下手でも、4つのコミュニケーションスキルをしっかりと習得すれば、トップ営業に近づくことができます。
特にヒアリング能力は、相手のニーズを把握する上で必須であり、即契約に繋がるスキルです。
大事なことは、コミュニケーションスキルを身に付け、きちんと話せる営業を目指すことなのです。
話し下手だと諦める前に、営業の世界に飛び込んで、営業ノウハウを地道に習得していただきたいと思います。